2015/04/01

CD-RW を有効活用する方法は

昔買った CD-RW を有効活用する方法は結局思いつきませんでした。あくまで書き換え可能なメディアとしてという意味であって、CD-R と同等と考えれば「それなり」に活用法はあります。

最大の問題は容量が小さすぎなのと、転送速度が遅すぎなことです。

このメディアの場合は容量は 700 MB、フォーマットすると 574 MB となり、転送速度は最大 4 倍速なので 600 KB/秒ということになるのかな。理論上は 700 MB のファイルを書き込むのに約 20 分かかる計算になります。実際にそのくらいかかりました。

HDD ならわずか数秒で終わる作業に 20 分もかかってしまうのです。

いや、インターネット上からダウンロードしたって 1 分程度で済んでしまうようなファイルサイズです。今普及が進んでいるクラウドスペースのほうがよっぽど実用的だということがよくわかります。

転送速度は DVD でようやく光回線並み、BD でやっと USB 2.0 接続の外付け HDD と肩を並べられるくらいになります。

BD クラスの転送速度ならばさぞや快適であろうとは思われますが、容量は 25 GB しかありません。50 GB や 100 GB といった大容量化も進んでいるようですが、すでにテラバイト(1000 GB)単位の容量に達している HDD に比べればまだまだです。

携帯性という点では USB メモリや SD カードなどのほうが優れています。CD がいくらコンパクトなディスクとはいえ、12 センチの円盤はもはや大きすぎます。スマホと一緒にポケットに入れて持ち歩くなんてことは(その必要性もないけど…)できません。ほこりや傷、光にも弱いと欠点だらけ。

本来の音楽を保存するためのメディアとしてもこのわずかな容量ではメリットを感じません。容量が数 GB の携帯音楽プレーヤーでも容量不足で悩むのに……。

では動画ならどうか? これはちょっと面白いと思いました。音楽ですら物足りない容量なのに動画なんてもっと駄目だろうと思われそうですが、意外とそうでもないのです。

CD でも動画を記録することは可能です。本来のビデオ CD の規格だと VHS ビデオ並みの画質で 74 分程度の動画を収録できるそうですが、これでは映画 1 本分にすらなりません。せいぜい 1 時間分のテレビ番組 1 本とか、30 分の番組を 2 本入れたらおしまいです。

そこで、規格とは関係なく、圧縮率の高い MPEG4 形式の動画を保存してみたところ、なんと DVD よりちょっと劣る程度の画質(YouTube の標準画質くらい)で 5 時間分もの動画を保存することができました。

意外と音楽よりも動画を保存するメディアとして面白い使い方ができそうです。実験では 5 時間もの収録が可能(解像度や圧縮率によってはさらに長時間の動画も可能)でしたが、何も長時間の動画である必要はありません。5 分ぐらいの短い動画でも使い道はあります。

例えば、携帯やスマホで撮影した動画を CD に保存して郵送するという使い方ができます。遠方の家族や恋人へのプレゼントとして CD に保存したビデオレターを送るというのも悪くないと思います。

今では大容量の動画ファイルなどもクラウドストレージを介したりメールに添付したりして簡単に送ることができてしまいますが、そういう今だからこそ CD で郵送することで特別な感じを演出できる場合もあります。

CD-R の場合なら 1 枚数十円程度と考えれば、メディア単価という意味では他のどのメディアよりも低コストということになります。これは郵送する際の利点と言えます。(ただし容量単価という考え方をすると逆にコストは高くなります。)

他にも、よいアイディアだと思ったのは Linux 系 OS の Live CD として活用することです。多くの種類の Linux 系 OS(ディストリビューションというのかな?)が Live CD での利用が可能となっています。それらを試したりバージョンアップするために何度も CD に書き込む機会があるとすれば、書き換えが可能な CD-RW を使うほうがよさそうです。

ところが、実際に試してみると、CD-RW からの起動を何度か繰り返しているとわずか数回で起動ができなくなったり不具合が出たりします。原因はよくわかりませんが、CD-R の場合にはほとんど問題がないので、CD-RW 特有の問題である可能性があります。同様の問題は DVD-RW でも発生していました。

いくらなんでも数回の読み込みでデータの劣化が生じるとは思えないので、おそらくは、起動時にライブ起動のための情報が書き換えられたりしてしまっているのだと思います。ファイナライズされた CD-RW でも意図せず書き換えが生じている可能性があります。

というわけで、CD-RW の Live CD としての利用は却下。ただし CD-R や DVD-R の活用法としては生かせます。

CD-RW の書き換え可能回数は 1000 回と言われていますが、ユーザーが書き換え操作をしていなくても意図せず書き換え処理が発生したりしていて思っていたより早く寿命が来ることもあります。書き換えは数十回程度が限度と思っておいたほうが無難かもしれません。

また、まったく書き換えをしないで放置する時間が長くなると記録面が固まってしまって書き換えができなくなることもあるようです。そのような問題を避けるために定期的に削除や全面フォーマットをしてリフレッシュしたほうが書き換えの寿命が延びるとも言われています。

そう考えると、CD-RW というのは「一応書き換えは何度でもできるけれども、最終的には CD-R 同様に書き換えせずにデータを保存しておくことを目的とするメディア」だと思ったほうがよいのかもしれません。ほんのちょっと CD-R よりも便利にできているというだけのことです。

そう、「保存しておくためのメディア」です。スクラップブックや写真アルバムのようなものですね。考え方としては遠回りしましたが、結局は CD というメディアの原点に戻った感じです。CD というか、その前のレコード盤のイメージに近いでしょうかねぇ。

HDD やフラッシュメモリも記録できるメディアという意味では同じ(こっちはカセットテープのようなもの)ですが、それらのように日常的に頻繁に読み書きするようなものではなくて、たまに押入れからひっぱり出してきてゆっくり眺めるものと考えればよいと思います。

そう考えれば読み書きが遅いのも問題にはならないでしょう。

問題は保存期間ですが、フラッシュメモリのように自然に蒸発してしまうということはないにせよ、保存状態によっては数年で劣化し読み込めなくなることもあるようです。よい状態で保存されていれば数十年もつとか 100 年もつという情報も見かけますが、そういうことは稀でしょうね。

銀塩写真のように 100 年後も残るようなメディアが理想です。究極的には数千年前(数万年前?)の人類が描いた壁画や象形文字のように、何千年たっても劣化しないものが作れるといいのですけどね。

ガラス製の CD ならそのくらいの超耐性を実現できるとも言いますが、そういうメディアを数十円程度で入手できる時代はいつになることやら。

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